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血管内焼灼術

21世紀に入る頃から下肢静脈瘤の治療にも血管内治療が導入されるようになりました。現在では、半導体レーザーによる血管内焼灼術、ラジオ波(高周波)による血管内焼灼術がストリッピング手術に代わって標準的治療法になりつつあります。これらの治療法は狭心症のカテーテル治療のように細いファイバーを弁が働くなって静脈瘤の原因になっている静脈に挿入して弁の近くから痛んでいる範囲を焼灼して治療する方法です。局所麻酔で治療が出来て皮膚を切開しませんから手術当日から普段の生活が送れます。

半導体レーザーによる血管内焼灼術

レーザー光の強いエネルギーが静脈壁の中で吸収されて高熱に変わり、この熱で痛んだ静脈を焼灼します。当院では2005年4月から3000件以上の治療経験があります。2011年に保険収載されてから費用的にも負担が軽減しました。
大伏在静脈の場合は膝付近の静脈に注射針を刺して細いファイバーを脚の付け根まで挿入してファイバーを引き抜きながら焼灼します。局所麻酔をするときに多少の痛みがありますが、焼灼中には痛みを感じることはありません。2014年に保険収載された1470nm半導体レーザーを用いると静脈壁への選択性が高いため低出力で治療ができるので術後のQOLも改善しました。瘤切除を追加しない場合は、包帯を巻いて治療は終わりです。ケースによっては弾性ストッキングも重ね履きすることもあります。
治療後は、術後合併症を予防するためにも出来るだけ通常の生活を送ってください。術後の通院は、1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年です。合併症(深部静脈血栓症、知覚過敏など)のチェックと治療効果を超音波でチェックします。

ラジオ波(高周波)による血管内焼灼術

日本では2014年に保険収載されましたが海外では、レーザー治療より早く臨床応用されていました。治療手技はレーザーによる治療とほぼ同じですが、焼灼の機序が異なります。レーザーはレーザー光のエネルギーを静脈の壁の中で熱に変えて焼灼するのですが、ラジオ波(高周波)は、電気を流して電子レンジの原理でファイバーの先端付いている7cm長の発熱体を120℃まで加熱します。静脈壁を発熱体と接触させることによって痛んだ静脈を焼灼します。レーザーに比べて治療温度が低いため術後の痛みや皮下出血が少ないと言われています。
治療後は、レーザーと同じように通院してもらいます。

血管内焼灼術(レーザー)による実例

56才女性

40才女性

50才女性

当院の治療法の変遷

グラフをご覧ください。2010年まではレーザーは自費診療でしたので、保険が使えるストリッピング手術を選択する患者さんが多かったのですが、2011年にレーザー治療が保険収載されてからは年間治療件数も急増し、その治療の多くはレーザーによるものに変化しています。2014年からは波長の異なる1470nm半導体レーザーによる治療が主体です。ラジオ波による治療を2015年から導入していますが、まだ件数が少ないのが現状です。

グラフ:治療法の変遷

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