血管が浮き出ているため、気持ち悪い、スカートがはけないなど外見上の悩みを訴えられる方が多くおられます。
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「下肢静脈瘤」とは、あし(=下肢)の静脈が太く浮き出ている状態をいいます。「下肢静脈瘤」の多くは太くこぶ状になっているだけではなく、曲がりくねっています。また大きさもいろいろあります。
15歳以上の男女632人におこなった静脈瘤調査によると、632人中274人、つまり43%という多くの方が静脈瘤を持っているという報告があります。この頻度は女性に多く、また年齢が高くなるにつれて上昇して、30歳以上の人では62%とさらに増えています。
静脈瘤ができても全く症状がない方もいます。しかし、静脈瘤ができると、「あしがむくむ、だるい、重い、痛む、ほてる」などの症状がよくでます。あしも筋肉がつる、いわゆる「こむら返り」もおきやすくなります。症状が重くなると湿疹ができたり、色素沈着、潰瘍ができたりします。
また、最近では、静脈瘤にできた血栓が肺動脈を詰まらせてしまう恐ろしい「肺梗塞」「エコノミークラス症候群」の原因にもなるといわれています。同時に、静脈瘤は美容的な悩みの原因にもなります。
血管が浮き出ているため、気持ち悪い、スカートがはけないなど外見上の悩みを訴えられる方が多くおられます。
あしに血液がうっ滞(血液がよどんでたまること)することにより、静脈圧が上昇し、これらの症状が起こります。
血液のうっ滞が進み、だるさ・重さがさらに進み、痛みが出ることがあります。
静脈圧が高くなっているため、血管内から水分が外に染み出ることにより起こります。
血液の循環がわるいために、歩行時や就寝中に起こることがあります。
湿疹を伴うことも、伴わないこともあります。
足首の周囲や静脈瘤の周囲に起きやすく、皮膚や皮下組織の栄養障害が進むと、皮膚が硬くなってきます。
静脈が拡張しているためにわずかな刺激で皮膚、皮下に出血します。血液の成分の中に含まれる色素が組織の中に沈着することがあります。
あしの血液は、あしの運動によって心臓に戻っていきます(筋ポンプ作用)。この血液が心臓に戻ることを「静脈環流」といいますが、この静脈還流には静脈の内側にある「弁」が大切です。つまり、静脈の中を流れる血液には重力がかかりますので下の方に戻ろうとします。この下への逆流をくい止めているのです。断面を見ると、弁は八の字型をしているので上向き(心臓の方)にのみ一方通行で血液が流れるようになっています。
静脈で逆流が先に始まり静脈が太くなって弁が働かなくなるのか、弁が壊れるのが先か。
二つの考え方がありますが、前者が現在の主流です。いずれにしても、弁が壊れてくると逆流量が増えて静脈瘤が進行します。治療が必要な静脈瘤の多くは、弁による逆流防止機能が働かなくなっています。